入院の敵

入院生活28日目になりました。季節はすっかり秋ですね。嫌いな夏を微塵も感じず終えました。少し嬉しいような、寂しいような。

 

 

この入院生活、1日の中でイベントと呼べるものが、食事とシャワーしかありません。おかげで食事が毎回本当に楽しみです。

 

  

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昨日の昼食。

 

 

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昨日の夕食。

 

入院QOLはご飯の美味しさによって大きく左右されると思います。ここの病院のご飯は本当に美味しいです。体調が良くなってからは全部完食しています。ご飯は適温適時に限りますね。何一つ不満がありません。

 

 

 

話変わって、同室の患者さんの話。

 

以前の記事でも紹介しましたが、僕の部屋は8人部屋で、7人の爺さんと同居しています。1ヵ月の間に数人入れ替わっているのですが、全員お爺ちゃんです。一切若い人が入ってきません。少子高齢化社会万歳。

 

入院して間もない頃、僕は向かい側のお爺さんの寝言とイビキに相当悩まされていました。寝言といっても「ムニャムニャ」とか可愛いレベルでは決してありません。

 

「アーソウナノ~~ところでOOさんの所の息子さんの話なんだけどさ~~OOっていう会社のどうたらこうたら…」みたいな寝言を永遠と続けるのです。

 

最初はこんな夜中に誰と電話してるんだと思って、看護師さんを呼んで辞めてもらうようにお願いしました。

 

看護師さん「あのですね……あれ寝言なんですよ……びっくりですよね……」

 

何か特別な病気というわけではないそうです。それにしても30分以上寝言話し続けるって眠り浅過ぎませんか。結局耳栓を購入し、お爺さんが寝る前に先に寝ることで対応しました。

 

1週間くらい経つと、お爺さんの寝言の周波数に合わせて勝手に耳がノイズキャンセリングしてくれるようになったのか、あまり気にならなくなりました。慣れって凄い。

 

 

妖怪寝言爺を倒した僕はしばらくの安寧を手に入れました。病院生活も慣れ、毎日世俗と離れた平和なのんびりとした暮らしを送っておりました。しかし僕は完全に忘れていたのです。ここは24時間体制で患者を受け入れている病院であるということを。

 

ある晩、隣の空いたベッドにお爺さんが緊急搬送されてきました。物騒な搬入音で目が覚め、「また眠れない夜が始まるのか…」と思いましたが、結局その晩は終始落ち着いている様子で、ほっと胸をなでおろしました。この方は夜中に騒ぐタイプの爺さんではありませんでした。そう、夜中には

 

緊急搬送されてから数日は本当に静かでした。それは単に騒ぐ元気が無かっただけでした。手術を終えて元気を取り戻してきた隣の爺さんは、看護師さんに対してあらゆる難癖をつけるようになりました。

 

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「見ろよ億泰……この爺さんなんか妙じゃねえか……あまりにも看護師に対する態度が人間の”ソレ”ってやつじゃねえぜ……ッ!」

 

という心の仗助の警告が見事にヒットし、回復力に比例し立て続けにクレームを言うようになりました。理不尽っていうレベルじゃないくらいの汚い言葉がマシンガンのように飛び出てきました。えげつねえ。

 

結果的に克服したんですけどね。最初は本当に煩わしくて仕方無かったです。病室にいるとイライラしてしまうので、なるべく外に出たり、イヤホン付けて動画見たりしてました。それでも気になるレベルだったのですが、1週間くらい経つと怒る元気もなくなりました。

 

それから逆にお爺さんを理解することに徹しました。そうするとお爺さんの文句の中に含まれる悲痛な叫びが聞こえるようになりました。とにかく早く退院したい、外に出たいという思いです。思いとは裏腹に体が言うことを聞かず、抱えたジレンマを発散しようと声を荒げる姿。決して褒められた行動とは言えませんが、本人の気持ちを考えると分かってあげられなくもないです。

 

そう思うとイライラとした感情も無くなり、気にならなくなりました。入院中に心がガンガン広くなっていくのを感じています。

 

 

第1、第2の爺さんを倒し、対ジジイ寛容スキルがカンストしたと思っていたのですが、先週また新たな強敵が来ました。ベジータ倒した後にフリーザが目の前に現れたって感じのドラゴンボール的展開です。オラ全然ワクワクしねえぞ。

 

その爺さんは昼も夜もお構いなく永遠と喚くタイプでした。この病室呪われてんのかってレベルで強敵がガンガン入ってきます。数日我慢しましたが流石に耐えられず、看護師さんに相談した結果、夜中の間だけその爺さんがナースステーションの管理下に置かれることになりました。出来る事なら第1第2のお爺さんもついでに預かって欲しいところですが。おかげでよく寝れるようになりました。めでたし。